ジブリの魔法をAI動画で再現する

手描きの温かみ、やわらかな色合い、どこか懐かしい風景──ジブリ作品に漂うあの空気を、生成AIで動画に落とし込むことは十分可能です。ポイントは、静止画→動画への流れをしっかり設計し、色と光の統一感を保つこと。この記事では、ジブリ風の映像をつくるためのワークフローと、シーン別の配色・ライティングのコツを紹介します。

静止画→動画:ワークフローと優先順位

概念設計とリファレンス集め

最初にシーンの雰囲気や時間帯を決め、ジブリ風イラストや風景写真を集めてムードボードを作ります。水彩風の背景画や自然豊かな風景、柔らかい光のシーンなど、参考になる素材を集めて世界観の基準を固めましょう。

配色・ライティングプラン

次に全体の色調と光の方向を決めます。夕景ならオレンジやピンクを基調に、曇天ならブルーグレー中心に……と、シーンのトーンを決めておくことで統一感が出ます(チートシートの活用がおすすめ)。光源の位置や強さもこの段階でメモしておきます。

ストーリーボードとショット分割

物語の流れに沿って主要カットを静止画として描き出し、パンやドリーなどのカメラワークを決めます。遠近感を出すために前景・中景・背景のパーツを分けておくと、後でパララックス効果が入れやすくなります。

プロンプト設計(JP/EN)

生成AIに渡すプロンプトには、シーンの説明、色のキーワード、光の状況、カメラ角度を含めます。例えば、日本語では「夕景の森、柔らかいオレンジとピンクの空、暖かな光差し込む、手描き水彩風、幻想的」、英語では「a fantasy forest at sunset with soft orange and pink sky, warm light, watercolor texture, dreamy atmosphere」。必要に応じてキャラクターの有無やレンズの焦点距離も加えます。

生成と調整

選んだAIツールで静止画から短いクリップを生成し、フレーム補間やズーム効果などで滑らかさを出します。この際、色調がばらつかないようツールの設定やプロンプトを統一します。

編集と合成

生成したクリップを編集ソフトに取り込み、テンポや長さを整えます。カメラワークやエフェクトを追加し、必要に応じて背景とキャラクターを別々に生成して合成します。仕上げに透明なフィルムグレインや水彩テクスチャを重ねると、手描きのような質感になります。

グレーディングとサウンド

最後にカラーグレーディングで色のバランスを整え、ハイライトやシャドウを調整します。BGMはオーケストラ調やピアノなどの柔らかい音を選び、風の音や鳥のさえずりなど環境音を加えると世界観が深まります。

色と光のルール(夕景・曇天・室内)

  • 夕景(夕焼け):柔らかなオレンジやピンク、紫を基調とし、光源は低い位置から差し込む設定に。木々の影を長めにとるとドラマチックに仕上がります。
  • 曇天:ミュートなブルーやグレー、淡いグリーンを使い、影のコントラストを弱めて全体をフラットに。わずかな光の差し込みをポイントにすると立体感が出ます。
  • 室内:アンバーやベージュなど温かな色合いが中心。ランプや窓からの光源を意識し、周辺は暗めに落として中央にフォーカスを集めます。
  • 夜の森:深いブルーやインディゴにエメラルドのアクセントを加え、ほのかな光(蛍や木漏れ日)の点在で神秘的な雰囲気に。

よくあるつまずきポイント

  • 色がバラバラになる:シーンごとのカラーパレットを事前に決め、プロンプトや編集で統一感を維持しましょう。
  • 生成動画の質感が硬い:水彩や紙のテクスチャをオーバーレイし、色収差やグレインを加えると柔らかくなります。
  • キャラクターと背景がなじまない:両方のライティングと色調を合わせ、彩度と明度を揃えると自然な合成になります。

まとめ:魔法は細部に宿る

ジブリ風動画を成功させるカギは、世界観を決める細部の積み重ねにあります。ストーリーボードで流れを固め、色と光のルールを設け、生成から編集まで一貫したトーンを保つことが重要です。やさしいパステル調と自然光の表現にこだわり、見る人がほっとするような映像を目指しましょう。

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