光で画が締まる:ライティング×プロンプト入門

結論:生成AI動画の“それっぽさ”は光(照明設計)で大きく変わります。三点照明(キー/フィル/リム)を比率・角度・色温度で言語化し、プロンプトに落とすだけで、出力の安定性と“高級感”が上がります。本記事は現場で即使えるテンプレJP/ENプロンプト付きで解説します。


「画が締まる」とは何か(定義)

  • コントラスト管理:暗部を生かしつつ、情報を失わない。
  • 輪郭分離:背景と被写体の距離感が出る(=リムライト)。
  • 主題の立体感:頬や縁に“厚み”が出る。
  • 視線誘導:明暗差で“見てほしい場所”へ導く。
  • ノイズ制御:無菌的なAI出力に“微粒子”で質感を足す。

KPI例:テロップ可読性、視聴維持率、サムネのクリック率


三点照明の最小原則(Key/Fill/Rim)

  • キー(主光):情報を決める。角度は水平30〜45°/やや上が基本。
  • フィル(補助):影の濃さを調整。足しすぎると“フラット”に
  • リム(縁取り):輪郭を切り出す。背景からの分離に最重要。

比率の目安(Key:Fill:Rim)

比率印象使い所失敗例 → 修正
1:1:0.3フラットで明快UI/教育系文字は読みやすいが立体感が弱い → リムを+0.2
1:0.6:0.5自然・会話向けインタビュー眠い → キー角度を高くし影を作る
1:0.3:1.0ドラマ・高級プロダクト/PR眩しい → リムの当たり面を狭く/拡散を弱める
0.3:0.1:1.2シルエット秘密結社/匿名性情報不足 → キーを+0.1だけ足す

代表ライティング5型とプロンプト

  1. レンブラント(頬の三角ハイライト)
    • 見た目:頬に小さな三角形の明部。クラシックで品がある。
    • JP:レンブラント照明。キーはやや上45°、フィル控えめ、リム軽め。
    • EN:Rembrandt lighting. Key elevated 45°, restrained fill, light rim.
  2. スプリット(左右で半々)
    • 見た目:顔の中心で明暗が二分。強いドラマ。
    • JP:スプリット照明。キーを側面90°、フィル極少、硬めの光質。
    • EN:Split lighting. Key at 90° side, minimal fill, hard quality.
  3. バタフライ(上からの美肌)
    • 見た目:鼻下に蝶の影。美容・上品。
    • JP:バタフライ照明。正面上からのソフトキー、フィルやや多め。
    • EN:Butterfly lighting. Soft key from above front, slightly more fill.
  4. ループ(自然で会話向け)
    • 見た目:鼻影が頬に小さな輪。自然で親しみ。
    • JP:ループ照明。キー35°、フィル適度、リム中程度。
    • EN:Loop lighting. Key 35°, moderate fill, medium rim.
  5. エッジ/リム(輪郭強調)
    • 見た目:縁に光が走り、背景から抜ける。
    • JP:強いリムライトで輪郭を切り出す。キーは弱め、フィル最小。
    • EN:Strong rim to carve outline. Weak key, minimal fill.

色温度と色演出(Kelvin&色ライト)

  • 3200K=タングステン(室内の温かさ)/5600K=昼光/6500K=クール。
  • ウォーム×クールの対比で立体感(例:キー暖色×リム寒色)。
  • カラーリム(青/赤/マゼンタ/ティール)は**“少量”が上品**。

JP例:キーは4800Kの暖色、リムはクールブルー。
EN例:Warm 4800K key; cool blue rim.


プロンプト構文テンプレ(JP/EN)

[目的] 高級感のあるテック世界観を提示し、主題を立体的に見せる
[舞台] 黒背景の高級空間、微粒子・反射控えめ
[照明] Key:弱め / Fill:最小 / Rim:強め、比率1:0.3:1.1、リムは青・赤
[角度] キーは被写体の右前方35°・やや上、リムは左後方145°
[色温度] 5600K(キー)、リムはカラード(ブルー/レッド)
[補足] コントラスト高め、ハイライトの飽和は避ける、微グレイン
[Goal] Present a high-end tech mood with dimensional subject
[Setting] Black upscale space; subtle particles; controlled reflections
[Lighting] Key: weak / Fill: minimal / Rim: strong; ratio 1:0.3:1.1; blue/red rims
[Angles] Key at 35° front-right, slightly above; rim at 145° back-left
[Kelvin] 5600K key; colored rims (blue/red)
[Notes] High contrast; avoid highlight clipping; subtle grain

シーン別レシピ10(コピー可)

  1. 高級プロダクト・ヒーローロウキー、強リム、反射抑制、比率1:0.3:1.1
    • EN:Low-key, strong rim, controlled reflections, ratio 1:0.3:1.1.
  2. ドラマチック・インタビューループ照明、比率1:0.6:0.5、背景を一段落とす
    • EN:Loop lighting, 1:0.6:0.5; background one stop darker.
  3. 暗い研究室スプリット寄り、緑がかった補色を薄く、粒状を足す
    • EN:Split-leaning; slight green tint; add grain.
  4. クリーンUI解説ハイキー、均一面光源、コントラスト控えめ、1:1:0.2
    • EN:High-key, even area light, lower contrast, 1:1:0.2.
  5. 夕景ロマンティック4200K、低いキー、柔らかいフレア
    • EN:4200K; low key angle; soft flare.
  6. ネオン都市夜景クールキー+マゼンタ/ティールのリム、濡れ反射
    • EN:Cool key + magenta/teal rims; wet reflections.
  7. ジム・シルエットバックライト強、汗ハイライト、微ヘイズ
    • EN:Strong backlight; sweat highlights; light haze.
  8. 教育×実演フラット寄り、文字可読性最優先、背景明るめ
    • EN:Flat-leaning; prioritize typography; bright background.
  9. ホラー演出アンダーライト、フィル最小、リム薄く
    • EN:Underlight; minimal fill; light rim.
  10. 食のテリ感暖色キー+逆光リム、フィル少なめ
    • EN:Warm key + back rim; low fill.

失敗と修正の具体例(NG→OK)

  • NG:全体にグロー → OK:発光体のみ選択して弱く。
  • NG:リムが広く当たり過ぎて白飛び → OK:面積を狭め、露出-0.3EV。
  • NG:肌が青く転ぶ → OK:キーを4800Kへ、リムだけクールに。
  • NG:フラットで眠い → OK:フィル-0.3、キー角度+10°で影を作る。

編集の仕上げ(最小3ステップ)

  1. 曲線:シャドウを少し持ち上げつつブラックは締める(Sカーブ弱)。
  2. グロー:ハイライトのみ(閾値高め、半径小さめ、量は控えめ)。
  3. 粒状:微グレインで“AI無菌感”を避ける(0.2〜0.4%目安)。

動画スクールの広告バナー

次に読む(内部リンク)

  • ① 生成AI動画の全体像:プリプロで9割決まる
  • ③ カメラワーク辞典:レンズ・被写界深度・動き
  • ⑭ 生成AI×実写の合成:“それっぽさ”の鍵はノイズ


免責

  • 本記事は一般的な情報提供を目的としています。ツールの仕様・価格は変更される可能性があります。商用利用時は各種ライセンスをご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました